ヒトの進化が運動に及ぼす影響など

ちょっと難しいかもしれないけど、アスリートには大切な話です。

導入;脳の話

ヒトの脳には中脳と呼ばれる領域があります。中脳は脳幹と呼ばれる、脳の中でも奥深く、生命維持などの基本的な働きをする部分の一部です。

ヒトは進化をして脳の表面を覆う「大脳(皮質)」が大きくなってきています。ここが心など作り、人間と他の動物を分ける大きな違いとも言われています。聞いたことのある方は多いことでしょう。

この中脳には「赤核」と呼ばれる領域があります。ここの働きは、四肢(手足)の動作を制御します。と、書くと、「あれ、大脳皮質では…」と思いつく方もいらっしゃるかと思います。それも正解。四肢の運動は、大脳皮質と赤核との相互作用によって制御されます。

赤核は、比較的原始的な身体の操作をしているようです。アスリートが新しい技に取り組むとき、最初のうちは大脳皮質によるコントロールがされ、熟練していくと段々とその制御が赤核に移っていくようです。無意識に動く領域に入ると、それは赤核制御と言えるのかもしれません。

人間は大脳に障害を受けると、運動障害などが残ることがほとんどですが、動物などではそうでもないようで、そういったことから大脳皮質と赤核の分担というか、微妙な違いが分かってきているようです。(まだ研究分野ではあるようですが…、その辺は分かりません)

ここで、ヒトの進化により大脳皮質が進化をし、運動制御も大脳皮質に比重多く任されるようになってきていることから考えないといけないことがあります。

進化したからこそ気をつけなければいけないこと

それは人間の情動が運動に影響を与えるようになっているということ。動物と違い感情を持つ人間は、それを大脳皮質の中で作り上げています。これが運動に影響を与えることが分かってきているそうです。

ということは、

  1. 沢山の練習を積み身体に動きを覚え込ませることは、感情とは離れた部分での身体の制御状態になるので、とても重要。
  2. 数ヶ月の時間をかけて筋トレをしてパワーを付けることはとても重要ではあるけれども、その日の感情次第では上手に発揮されない可能性がある。
  3. 運動制御系には情動も影響するが他にもたくさんの要素が絡むので、試合当日に感情が乱れていても、その他の神経系のコンディショニングをすることによって、ある程度は抑えこむことができる可能性がある。
  4. 感情自体はちょっとしたことで変化をすることがあるので、試合当日の環境には細心の注意が必要。

等など思いつくことがあります。

個人的なことを言えば、トレーナー活動で試合前の選手たちにテーピングをしていたのは3番にあたります。神経系、特に受容器と呼ばれるセンサーの部分の感度調整です。これで身体の反応が全く変えることができます。

あと、スポーツ現場で気になるのは4番です。よく、選手が失敗をした時にコーチや監督さんが「何やってんだ、バカヤロー!」なんて叫んでいる姿はよく見るように思います。過去に評価をしたことがありますが「バカヤロー」なんて言葉が耳に入ると、瞬間的に身体の反応速度が落ちます。例え自分に言われたことでなくても、耳に入った瞬間に身体は変化。これはとってもまずいです。(他の選手達にも悪影響を与える)

スタート前とかに、自分を鼓舞するために何かの言葉をブツブツ言う選手もいますが、その言葉選びも重要です。

以前、スノボの選手に聞き取りをした時に、「小さく、小さく」と言い聞かせるという選手がいたので、「小さく」という言葉で反射の評価をした時に低下することがありました。ターンを小さくしたいという思いだったようですが、本人の脳は感情低下の反応をしたようです。「最短距離、最短距離」の方が良かったかもしれませんね。

進化して敏感になっているんですね

というように、ヒトは感情をもてるように進化をして来ましたが、それが運動機能に影響を与えることも生んだようです。なので、この部分は自分で注意をする必要がありますね。

当日の神経系のコンディショニングも重要です。僕はテーピングという手法を取りますが、あとはPNFという手法をとる方もいらっしゃいます。まっ、あまり多くはないようですけど…。

ヒトは敏感なので、いろんなことに気をつけないといけない生き物になっているということですね。

この記事を書いている人

走尾 潤Body Tuning Labo K7"代表 / Body Tuner
もともとは、富士通系のコンピュータメーカーでハード設計を11年くらいした。
ある時、運動選手のケアがしたくなり、脱サラ、接骨院開業。本格的にケア事業をするために、現在の自費治療院を開設。
今では、世界に挑戦するジュニアテニス選手やプロ選手。3時間を切る、比較的早い市民マラソンランナー、ダンサーや俳優などのケアサポートを行う。