キネシオテーピングワークショップ報告 -2-

先日のワークショップのもう一つのポイント
「足し算からかけ算へ」
の話です。今回の記事は、一般の方は読みとばしてしまった方がいいと思います…。

これも普段の施術のベースになっている考え方で、僕にとってはとても重要なものです。

今回のワークショップの冒頭で参加者の方に
「テーブル上のある物を取るときに、前脛骨筋はどのくらい働いている(筋力を発揮している)でしょうか」
という質問を投げかけてみました。前脛骨筋というのはすね(膝下)の筋肉です。答えは「ゼロ」でした。

まっ、当たり前と言えば当たり前なのですが、実はゼロではないと考えています。ホンのちょっとは働いています。

物を取る動作をするときに、腕を伸ばしますよね。すると、身体の重心点は移動するので、対応するよう全身の筋肉が少しずつ働きます。

こういったことは徒手検査で実際に確認できます。上の例と少しずれますが、例えば三角筋という肩の筋肉のテスト。

座った状態で、三角筋のテストをするときに反対側の足首を曲げたり伸ばした状態(底・背屈)でテストをすると結果が変わります。三角筋への負荷で重心がずれ、身体は反対側を下げようとします。このときに背屈状態だとこの力がうまく発揮できずに、三角筋が弱くみえます。

どんな運動でもたった一つの筋肉が単独で働くことはありません。しかも姿勢を保持すると言うことまで考えると、ほぼ全部の筋肉が働いていると言ってもいい。

ということは、どこかたった一つの筋肉の状態が悪いと、目的の運動がうまくできない可能性があると言うことになります。

実際にはそれでは困るので、「代償運動」というものが発生します。人の身体はよくできています。ただ、代償運動が起きて目的の動作は作られるのですが、人間としての最大パフォーマンスは出ていないことになります。

また考えなければいけないのは、ある一つの筋肉のトラブルが、思いも寄らないところに作用をすることがあるということ。上の例でも、足首にトラブルがあると肩に影響がでる可能性があります。

治療をするときには局所治療も大切ですが、原因を作っている部位を探すこともとても重要になります。

徒手検査も教科書的には他の部位の影響が出ないように教えますが、それは原因が見える可能性を最初から排除している可能性があります。たまには他の部位まで意識してのテストも大切です。

実際の治療では「なになに筋がどうだ」みたいな言い方がされるのを見聞きするのですが、それも治療的には誤差が多いはずと考えています。

と、いろいろ難しそうな話なのですが、たった一つの筋肉だけを見る手法は考え方としては足し算で、他の筋肉の影響を受けないと言うのがベースにあります。

がしかし、実際にはそんなことはなく、他の筋肉の影響を受けているなずなので、考え方としてはかけ算が適切でしょう。

治療の時には、身体全体の様子に注意をし、痛みの原因を手繰っていく意識を持ちたいものです。

この記事を書いている人

走尾 潤Body Tuning Labo K7"代表 / Body Tuner
もともとは、富士通系のコンピュータメーカーでハード設計を11年くらいした。
ある時、運動選手のケアがしたくなり、脱サラ、接骨院開業。本格的にケア事業をするために、現在の自費治療院を開設。
今では、世界に挑戦するジュニアテニス選手やプロ選手。3時間を切る、比較的早い市民マラソンランナー、ダンサーや俳優などのケアサポートを行う。