膝のトラブルで膝のサポータを勧めなかった事例

一つ前の記事(表と裏)で「実例に続く」と書いたので、そのお話を少しずつ書いて紹介していきます。 その一つで、膝のサポーターの話です。

あるバレーボーラーに、

レシーブ時に膝を落としていくと痛みが出るので、サポーターをしたいのだけど、いいものないか?

という相談を受けました。 一般的には、硬めだったり、スポーツ用となっているサポーターをその場で売るのだと思いますが、一応、どんなことが起きているのかしっかりみてみましょうということで、動きの再現をしてもらいました。

起きていたこととやったこと

事が起きるのは、アンダーレシーブのポジションから動く時です。ボールが身体より右側に来れば、左膝を下のほうに折りこむ動きがでます。この時に、その折込んだ膝に痛みが出ます。 そこで、動きの左右差を確認します。

左右で同じ動きをしてもらうと…全体的に、ちょっと違います。 何が違うのかというと、肩の前方への入り具合なのです。 (左肩が前に突っ込み、膝が折れる)

レシーブ動作時の膝の動き

 

ただのクセといってしまえば、そこでおしまいです。しょうがないから、サポーターで無理やり膝の動きを止めましょうということになります。

そこで、前回の表と裏の話を思い出して欲しいのです。

肩が思った以上に前に突っ込むということは、後ろ側から引っ張るというか、前に行かないように制御する働きがうまくいっていないのではないか?

と考えるわけです。 そして、肩を後ろ側に引くテストをしてみると、想像通りちゃんと機能していませんでした(後方に引く力に拮抗するようにテストをしてみる)。

肩を後ろ側に抑えられるかどうかのテスト

そこで、肩を後ろ側に引く、そんな力が働く方向にキネシオテーピングをしてみます。すると、しっかりと肩が前に突っ込まないように抑えられるようになりました。その結果、問題の起きている動きでも、肩が前方に突っ込まず、身体が捻れないので、膝が折りこまれる動きも減り、痛みが出なくなりました。

今回の膝の痛みは、膝のおかしな動きに引き起こされ、その膝のおかしな動きは、身体全体のおかしな動きにより引き起こされる。そのため、その根元を止めれば、最終的な痛みもでない。 と、いうことになります。

痛いところだけでなく、全身をみる

身体全体の動きにまで視野を広げると、膝のトラブルのその多くは、直接膝に施術をする必要はないと感じています。それが見えないときにはじめて、膝へ直接施術をしていく。

とにかく痛みだけを抑えようと、肩の動きに異常があるのを放っておいて、痛みの出ている膝の動きだけを制限してしまうとすれば、結果的にパフォーマンスダウンにつながります。肩はちゃんと動かない、膝だって動きを制限される、ということです。

サポーターを売ってしまえば簡単だし、売上も上がりますが、結局はよくみせていただくことの方が選手たちのメリットは大きい思っています。いちいちチェックをしていく施術は受けていただく方にも大変な場合がありますが、そのほうが絶対にメリットが多いので、是非ご利用いただければと思います。

こういったあまり目に見えないスポーツ障害は、なかなか局所的な施術では効果が上がりにくいかもしれません。接骨院や整形外科では、健康保険の制約上全身を見ていくのは厳しいものがありますが、ここまでみてくれるところがあれば任せてしまうと良いと思います。スポーツ障害って、ただ痛みを取ればいいだけではないので、難しいものがあります。やっぱり専門のところが良いと思います。

この記事を書いている人

走尾 潤Body Tuning Labo K7"代表 / Body Tuner
もともとは、富士通系のコンピュータメーカーでハード設計を11年くらいした。
ある時、運動選手のケアがしたくなり、脱サラ、接骨院開業。本格的にケア事業をするために、現在の自費治療院を開設。
今では、世界に挑戦するジュニアテニス選手やプロ選手。3時間を切る、比較的早い市民マラソンランナー、ダンサーや俳優などのケアサポートを行う。