今回の話の内容的には、シンスプリントとか腸脛靭帯炎、疲労骨折などがあてはまります。
疲労
いきなり身体の話から離れますが、「金属疲労」と言う言葉がありますね。金属に曲げたり歪めたり、そういう力を繰り返し加えると壊れてしまうというもの。

疲労骨折も同じです。骨に対して曲げたり歪めたり、負荷を加え続けると壊れ(折れ)ます。
人の場合、骨自体が時間と共に修復します。修復のスピードと負荷による損傷のスピードを比べたときに修復が早ければ何も起こらず、損傷スピードが早いとトラブルになります。
シンスプリントは「悪化すると疲労骨折になるよ」といわれることがあります。これは、スネの骨に対して傾いた力や衝撃的な強い力(負荷)を掛けると、負荷の集中したところに痛みがでて(シンスプリント)、さらに掛け続けると疲労で折れるというメカニズムです。
腸脛靭帯炎は靭帯と骨が擦れて生じるので、擦れ方ていたむのが修復よりも早く、強ければ発症ということになるし、修復が早ければ何も起きないと言えそうです。
スポーツ障害をどのように考えるのか
このことがわかると、スポーツ障害についての考え方が少し変わるのではないでしょうか。
というのも、患部に対する負荷の掛かり方が問題で、それに何の対策もしなければ、原因は残ったままで、仮に休んで治った感じがしても復帰すれば再発です。(休むだけじゃダメということ)
ということは、これらの症状を治療するとき、患部の治療をするのではなく、壊す原因に対して治療をすべきということになります。
着目点はどこなのか
治療や予防という視点から身体をみるとき、患部の痛みよりも掛かる負荷の具合をみたほうが効果的です。
身体全体をみたとき、どこでどのように力が発生しているのかをみて、部分的に集中しないようにします。そのためには、実際にトラブルを起こす動きそのものをみないといけないでしょう。(現実的にはできる範囲でとなってしまいますが…)
シンスプリントにしても腸脛靭帯炎にしても、痛みが出るのは身体全体から見たらホンの一部分です。それでも患部に掛かる負荷を見るために全身運動をみないといけないです。一般的にはそこまでみられていないと思いますが、それが症状がなかなか改善しない理由です。
まとめ
スポーツ障害というのは、たいてい疲労性のものです。シンスプリント、腸脛靭帯炎、野球肩、テニス肘などなど。身体の中での力の発生具合に多少の狂いが生じ、それがフォームの狂いになり、その結果部分的に負荷をかけるということ。
治療的には逆に巡るわけで、
- 患部に負担がかかっていないか
- フォームが狂っていないか
- フォームの狂いはどこからくるのか
とみて、修正していくことになります。
理屈的には、このような手順をふみますが、現実的にここまでされていることは少ないと思います。なかなか改善しないスポーツ障害をお持ちであれば、ここまでみてくれるところを探したほうがいいと思うし、フォームの狂いまで修正されるのでパフォーマンスの向上も期待できます。
こういったトラブルのメカニズム的なことを考えていくのもスポーツ選手にとっては大切なこと。スポーツでは、身体が一番の道具なので、その道具をきちっと使うことも考えるとより明るい明日が待っていると思います。