【身体の不調をこう見抜く-2】-不調が繰り返される「本当の理由」

第1部では、身体をコンピューターになぞらえて、西洋医学は「ハードウェア(物質)」、東洋医学は「ソフトウェア(制御)」を見ているとお話ししました。未読の方は、以下のリンクから先にご覧いただくと、よりスムーズに理解できるはずです。

第1部:身体の不調をこう見抜く ― 一般的な医学では見過ごされがちな、物理と制御の視点

何度も通っているのに、腰痛がぶり返す。毎日通うように言われるけれど、その場限りな感じがする。そんな経験はありませんか?

今回は、なぜ不調が繰り返されるのか、その理由をお話しします。

不調が治らないのは、身体というシステムのどこかに「原因」が潜んでいるからです。

エンジニアの世界では、問題を解決するために必ず
「検出(原因の特定)」→「修正」
という流れを踏みます。

ですが、多くの治療現場では、原因の特定よりも「まず症状を抑えること」が優先されます。
痛みを取り除くこと自体は一般的ですけど、慢性化した不調の場合、原因の検出を行わないまま修正を繰り返しても、再発に悩まされ続けることになります。

マッサージや電気、温熱、湿布は、基本的には「修正」のための手段です。肝心の原因がどこにあるのかを探さない限り、不調のループからは抜け出せないのです。

身体を動かす「入力→演算→出力」の仕組み

エンジニアは「入力があり、処理があり、出力が出る」というモデルで考えます。人の身体も全く同じです。

僕は、身体に小さな刺激を入れたときに「何が変わるか」をいつも見ています。その変化が、原因を探すヒントになるからです。

例えば、「レモンを一口かじる」。これが入力です。
それに対して、ニコッと笑う人もいれば、顔を歪める人もいる。この差が出力です。

同じ入力でも結果が分かれるのは、その人が持つ「内部の設定(身体の処理・判断)」が違うから。この例でいえば、「酸っぱいものが好きか嫌いか」という設定(身体の処理・判断)の違いですね。

入力→演算→出力

痛みの正体は「負担の集中」

本来、身体のパーツが協力して動けば不調は起きません。しかし、どこかに仕事をしない「サボっている筋肉」があると、他の筋肉がそれを肩代わりして無理をします。

もちろん、実際に筋肉が怠けているわけではありません。神経の指令や感覚入力が脳へうまく伝わっていないために、本来の働きができていない状態です。

ここで思い出してほしいのは、「物は同じ場所に負担をかけ続けると壊れる」という物理の原則。機械も身体も同じです。正しく動けず特定の部位に負担が集中し、組織が悲鳴を上げた状態が「痛み」の正体です。慢性的な不調ほど、この「負担の集中」が背景に隠れています。

痛みが出ている場所(出力)に対して、そこだけをどうにかしようとしても治らないのは、そこが「原因」ではなく、誰かのサボりをカバーしている「被害者」に過ぎないからです。

なぜ「症状」ばかりを追いかけてしまうのか

西洋医学は「異常がある場所」を特定するのが得意です。そのため、どうしても出力(症状として見えている部分)へのアプローチが中心になりやすい側面があります。

  • 痛いところに電気を流す(出力の抑制)
  • 凝っている筋肉への直接的なアプローチをする(出力の修正)
  • 炎症を抑える薬を飲む(出力の消去)

なぜこれが主流なのか? 「エビデンス(証拠)」が見えやすいからです。画像や数値など目に見える変化を指標にする西洋医学(ハードウェア重視)にとって、この手法は非常に相性が良いのです。

急性の怪我には不可欠な処置ですが、慢性的な不調の場合、出力だけをいじってもシステム全体の誤作動は解消されません。

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目に見えない原因をあぶり出す

では、どうやって目に見えない誤作動を見つけるのか。そこで重要になるのが、独自の「動きの評価」です。

脳の中の処理(身体の処理・判断)はブラックボックスです。だから、テスト入力を与えたときの反応(出力)を観察し、逆算して中身を読み解く必要があります。

実際の治療では、まず「足踏み」のような何気ない動きからスタートします。詳細は第3部でじっくり解説しますが、こうした単純な動作の中にこそ、身体のクセや左右差が「身体の反応(ログ)」として現れるからです。

「動きのぎこちなさ=システムの不具合」と判断し、どこを調整すれば正常な動きに戻るのかを読み解いていく。この評価こそが、単なる慰安ではない、元エンジニア流の施術の肝になります。

事例:腰痛の真犯人は「腰」以外にいた

例えば、あるアスリートの腰痛。腰に対して局所的なアプローチを繰り返しても、数日後には痛みが戻ってきます。

エンジニアの視点で「動きの評価」を行えば、原因は腰以外に見つかることがあります。

  • 入力の不具合:腹筋周辺の感覚が鈍く、脳がお腹の状態を把握できていない。
  • 出力の不具合:お腹が機能しない分、すべての負荷が腰にかかり、「腰痛」が起きる。

この時、患者さんは「お腹に力を入れようとしても、入っている感覚がない」「立った瞬間に腰が反ってしまう」といった状態になっています。

この場合、真の原因は「腰(出力)」ではなく、「腹筋周辺の感覚器(入力)」にあります。
入力が間違っていれば、どれだけ高性能な脳でも、正しい動きは出せません。

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痛みはあくまで「結果」に過ぎない

「痛いところを治療すれば治る」という考え方は分かりやすいですが、システム全体を見れば、痛みはあくまで結果に過ぎません。

入力に誤作動がある限り、出力をいくら書き換えても、また同じが発生します。

あなたの不調が治らない理由は、「ハードウェアの故障」ではなく、「入力や設定のズレ」を見逃しているからかもしれません。

第3部では、この入力をどのように調整し、正常な動きを取り戻していくのか。具体的な手法「Body System Engineering」の中身をお話しします。

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この記事を書いた人

Body Tuning Labo K7”代表の走尾(はしお)です。
人の身体、特に上昇志向の強いアスリートの動き具合を調整していくのが一番得意。
ほぼ100%の人が「自分の身体はちゃんと動いている」と思っているので、もっといい世界があることをお知らせしたい。
元コンピューターハードウェア設計エンジニア。たぶん、異色の転職組で人の身体への接し方が違います。それが結果の違いも生みます。

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