「もっと筋肉をつければ、もっと速く動けるはずだ」
今、アスリートの世界では、とにかく筋力を増やすこと(足し算)を優先する「筋トレ信仰」がとても強い。
もちろん、パワーは大切です。 でも、現場でたくさんの選手を見てきた僕から見ると、実は「持っている力をうまく使えておらず、もったいない状態」に気づかないまま、さらにパワーを上乗せしようとしているケースが非常に多いです。というか、ほとんど。
治療院の業界でも「パフォーマンスの向上」という言葉はよく使われますが、その中身が具体的に語られることはあまりありません。 今回は、僕が考える「パフォーマンス向上」の正体と、僕の屋号である「K7″」に込めた想いについてお話しします。
パフォーマンスの向上には「2つの道」がある
大まかな分類ですが、パフォーマンスを上げるには2つの考え方があると思っています。
- パワーの向上(足し算)
- ロスの削減(引き算)
1番の「パワーの向上」は、筋トレで出力を上げたり、反復練習でスピードを身につけたりするもの。これは選手自身の努力と時間が必要な分野です。
対して2番の「ロスの削減」は、身体のガタつきを調整して、持っている力を100%効率よく動かせるようにするもの。僕が提供しているのはこちらです。 セラピストが神経系の調整を行うことで、その場で身体の動きが変わり、さらに「合理的な身体の使い方」を身につけることで、これまで積み重ねてきた努力を100%結果に繋げられるようにします。
なぜ「ロスの削減」が先なのか?
僕が「ロスの削減」を優先するのには、明確な理由があります。
いくら筋トレをしてエンジンを大きくしても、車体が歪んでいたり、部品がガタついていたりすれば、上がったパワーは地面に伝わらず、あちこちに撒き散らかされてしまいます。これでは効果が薄いだけでなく、故障の原因にもなります。
もちろん、僕はパワーを上げる努力そのものを否定しているわけではありません。 高い精度と技術を維持したままパワー上乗せできれば、それは間違いなく最強の武器になります。しかし現実問題として、最初から身体を精度高く動かせている選手は、ほとんどいません。
だからこそ、僕は選手たちに「今は筋トレを増やすよりも、まずは身体の精度を上げ、その精度で動くための練習(技術)に時間を使ったほうがいいですよ」と伝えることが多いです。
まずはきちんと整備された身体を作り、そこに合理的な使い方の「指示」を通す。この土台があって初めて、パワーアップの努力がそのまま結果に結びつくようになります。
1キロあたり「7秒」を削る。屋号「K7″」に込めた願い
この「ロスの削減」の効果を最も如実に表しているエピソードがあります。
僕のところには、フルマラソンを3時間以内で走る「サブスリー」クラスのランナーも多く来られます。彼らのようなトップ層であっても、身体の調整を受けるだけで、タイムが5分ほど縮まったという報告をよく受けます。
3時間で5分の短縮。これを計算すると、1kmあたり「7秒」の削減になります。
過酷な長時間競技であるマラソンにおいて、パワーを足すよりも「省エネ」で走れる身体を作ることの重要性は計り知れません。
僕の屋号「K7″」は、この「1kmあたり7秒を削り出す」という決意から名付けました。
システムを整え、身体の可能性を100%引き出す
コンピューターの設計目線で見ると、人間の身体はまさに「精密機械によるシステム」そのものです。 脳が「CPU(司令塔)」で、神経が「配線」、感覚の入り口が「I/O(センサー)」。
僕は、リハビリの技術などを応用して、このセンサーがごく小さな刺激に対してもパッと反応できるように「校正(キャリブレーション)」していきます。
センサーの感度が上がり、身体の「遊び」が消えると、次のような変化が起きます。
- 初動が速くなる: 命令に筋肉が即座に同期する。
- ノイズが消える: 無駄な予備動作がなくなり、動作が直線的になる。
- 「キレ」が出る: 命令した瞬間、ダイレクトに動く。
追伸:怪我の予防とパフォーマンス向上は「イコール」である
最後にもう一つだけ、大切なことをお伝えします。
身体の精度が高い動きを身につけると、不意な動作でよろけたり、バランスを崩したりすることが激減します。つまり、怪我が圧倒的に少なくなります。
実は、アスリートにとって**「怪我の予防」と「パフォーマンスの向上」は、まったく同じこと(イコール)**です。
ここを真に理解できた選手は、迷いが消え、一気に能力を伸ばしていきます。 「怪我をしないために守りに入る」のではなく、「最高の結果を出すための合理的な動きを追求した結果、怪我も勝手になくなっていく」。
そんな理想的なサイクルを、あなたと一緒に作っていきたい。 それが「K7″」の、そして僕の願いです。
最後に:持っている力を100%使い切るために
もしあなたが、日々の練習で「一歩目の反応が周りより遅い気がする」「身体の左右差がどうしても抜けない」といった違和感を感じているなら。
その原因は、パワー不足ではなく、身体のどこかで微細な「ガタつき(ロス)」が起きているからかもしれません。
人は、痛みには敏感ですが、49:51といったわずかな左右差には、なかなか自分一人では気づけないものです。でも、その小さなズレこそが、パフォーマンスの頭打ちや、怪我の引き金になっています。
筋トレを詰め込む前に、まずはシステムを整え、本来の100%を目指す。 それが、あなたの努力を最短で結果に変える、唯一無二の近道だと僕は確信しています。


